教本『大自然の法則と人間の使命』
第二十五章 恩を知ることから始まる
凡例:金枠=原典(暗記対象・出典付き。主に『心掛け』に依る)/灰枠=〔編者注〕・譬え・具体例(原典の言葉ではない)/〔出典:…〕=地の文中の典拠。教義は不変、原典は実在テキストからの引用のみ。
恩とは何か
「心掛け」は、形而上学の学びの中でも重要な課題だ。
当来佛は「こうしなさい」「こうあるべき」とは説いておられなかった。常に「それは(上手くいかないのは)、心掛けよ!」と言われて、大切な事であることは示唆された。しかし「どうしたら善いかは、お前たちの心掛け…」と、人間の方に預けられた形だった。
心の在り方が一人一人の人生・運命に多大な影響をもたらすという現実が学問として理解できるのが、形而上学の特徴だ。
まず、「恩(おん)」から始まる。
恩とは、めぐみ・なさけのこと。恩の文字は「因」と「心」の合字で、因は「原因の因、もとの事」だ。つまり恩とは「原因・もとを思う心」だ〔出典:心掛け 第一部「恩」〕。
人も物事も、いきなり発生したり出来たりしたのではない。原因があって生まれ、経過という経緯があって、結果この場にいたる。「ああ、このようにして自分は育てられたのか」「父と母・先祖がこのようにして維持してきたのか」と、もとを思う。
すると、何ともいえないある感情が湧く。家や父母に対して、製品を研究・開発・完成させた人に対して、組織をここまで運営してきてくれた人に対して、感謝の思いが湧く。
『心掛け』の恩の四段階
『心掛け』は、恩を「知恩(ちおん)・感恩(かんおん)・報恩(ほうおん)・謝恩(しゃおん)」の順で説く。
【原典】恩の流れ 『心掛け』
「恩は、知恩、感恩、報恩、謝恩を旨(むね)とせよ」
── 出典:心掛け 第一部「恩」(感謝、報恩の則)
〔編者注〕 本書は「四恩」を恩の行為の四つ(感恩・知恩・謝恩・報恩)とする〔出典:善戒、禁戒〕。『諸法の原理原則』第五章 第三理の細目 98頁は三つ(知恩・謝恩・報恩)で説き、「感恩」の語は無い。この節は『心掛け』の並び(知恩・感恩・報恩・謝恩)をそのまま紹介する。
知恩:恩があることを知る。恩を知らない・気づかない場合がある。教育の中でこのような教育が無くなってきている。
感恩:恩を感じる。「なるほど、そうだ」と自然に心に感じてくる。毎食の「いただきます」「ご馳走様」も恩に気づく行為だ。
報恩:受けた恩に何かで報いようとする。受けた相手に返す。相手がいない場合・特定できない場合、社会全体に、行為や物質で返す。
謝恩:感謝の気持ちを伝え表す。
「受けた恩は倍で返す」気持ちが大切だ。相手が亡くなっていていない場合など、別な他人に対して行う気持ちが、その人への供養になる。
四つの感謝
当来佛は次の四つへの感謝を説かれた(原典はこれを「四恩」と呼ぶ)。
1. 神佛への恩:命を与え、法を教えてくださった根本の恩
2. 先祖への恩:血と知恵と文化を受け継いだ恩
3. 社会への恩:社会の仕組みの中で生かされている恩
4. 物への恩:食べ物・着る物・使う道具への感謝
「孝行は百行の本」──孝(感謝・先祖を大切にする心)が分からないと、恩も生まれず感じない。社会の乱れの元はここにある。
【原典】孝は恩の本 『心掛け』
「孝は百行の本」「孝行は、すべての善行の基本」
── 出典:心掛け 第一部「恩」(孝)
恩の意味から四恩・四つの感謝、孝までを、図55にまとめる。
図55の読み方
図55は四段に読む。一段目は恩とは何かで、恩の文字は「因」と「心」の合字であり、「つまり恩とは『原因・もとを思う心』だ」。「ああ、このようにして自分は育てられたのか」と、もとを思うと、何ともいえないある感情が湧く。二段目は四恩=恩の行為の四つで、「恩は、知恩、感恩、報恩、謝恩を旨(むね)とせよ」。本書は感恩・知恩・謝恩・報恩の順に並べた。感恩は恩を感じる、知恩は恩があることを知る、謝恩は感謝の気持ちを伝え表す、報恩は受けた恩に何かで報いようとする(図23)。三段目は四つの感謝で、神佛への恩・先祖への恩・社会への恩・物への恩。四段目は「孝は百行の本」「孝行は、すべての善行の基本」で、孝が分からないと、恩も生まれず感じない〔出典:心掛け 第一部「恩」/善戒、禁戒/諸法の原理原則 第五章 第三理の細目〕。
